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STORY 03

-ここにいてよかった♥ -
看護師 南早也香

看護師一年目。

血液内科に配属された私は、毎日ただ目の前の仕事をこなすことで精いっぱいだった。 今日もあれができなかった、これもできなかったと思い悩む。仕事も圧倒的に遅い。テキパキと働く先輩をみて、自分のできなさを思い知る。 一年目だからできなくて当たり前なのかもしれないけど、当たり前だと思うのは悔しかった。

私は特に採血が苦手だった。血液内科は腕から採血する患者さんが少なく、慣れない。これまでだって失敗して、患者さんの機嫌を損ねたり、「また刺すの?」と言われることもしばしば。苦手意識はますます強くなる。

夜勤で採血にまわっていた時、一人の患者さんで2度も失敗した。他の看護師を呼んでこ ようとした私に、 「いいよ、いいよ。もう一回やってみ。次やったらできるよ」と患者さんは優しく促した。 3度目の正直。成功した。 「経験なんやでナースは。経験のためやったら何回でも採血させたるで。南さんしっかり経験しとんのやからできるって」と言ってくれた言葉が自信になった。ありがたかった。

愚痴を言い合える同期や、相談にのってくれる先輩だけじゃない。患者さんに育てられていると感じた。 先輩たちが患者さんを思う気持ちが、巡り巡って患者さんから私に返ってくる。そしてまた私も患者さんに返す。伊勢の地が、この病院の風土が、そうさせてくれている。 「わたしは色んな人に見守られている。」そう感じて今日も仕事に励んでいる。

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