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STORY 02

-それぞれの役割-
腎臓内科 医師 小里大基

腎臓内科の医師として7年目

「病院のトップを呼べ!」受付で大声を上げている患者の声は外来の診察室まで届いた。 僕が担当している患者だった。突然のことで何が起こったのかわからなかった。 透析を始めたがなかなか軌道に乗らず、体調はどんどん悪くなっていた患者だった。 対応している師長に、「もう透析には二度と来やん」、僕を「見かけたら殴ってやる」と激昂している。 病状の悪化、仕事、さまざまな不安を誰かにぶつけずにはいられなかったのだろう。

師長は帰ろうとする患者を追いかけ、患者の手を取った。 患者の不安とやりきれない思いを受け止めるために。 そしてどうすれば患者が治療を続けられるのか共に考えるために。

腎不全管理の主役は患者である。 患者は病気と向き合い、適切な治療を続けるとともに、今までの習慣を変更し日常生活を管理していかなければならない。 怒り、恐怖、不安、悲しみ、苦しみ、孤独感、空虚感、もどかしさ、喜び、楽しみ。 患者は、様々な感情を抱きながら闘病を続ける。 その患者がなるべく良い状態で、病気と向き合い治療が続けていけるよう支えていくのが医療者の役割である。 そこには治療する医師がいる。そして治療を支え、生活を支える医療スタッフがいる。そして地域との連携。それぞれが患者さんを中心につながっている。

協働―私たちは「患者のいのちと生活を守る」
という共通の目標でつながっている。

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